あのにおい、について
加齢臭、なんて言うと、何か良からぬ臭いのもの、
消さねばならぬもののように聞こえるけれど、
私はこの、加齢臭が、好きなのだ。
おばあさんの、ではなく、おじいさんのが好き。
おばあさんはだって、きつめの香水つけて、
本来の臭いを消す術を身に着けてしまっているでしょ。
私はだから、消す術を知らない、そもそも自分の体から発する臭いに気付いていない、
無頓着なおじいさんの臭いが好き。
あの臭いを鼻にすると、彼らと私との間に存在する、長い時間を想う。
隣にいるこの人は、今、私と同じ時間を生きているけれど、
その奥には、私が知らない長い長い時間がある。
なんだか圧倒されてしまう。
生きてきた時間が臭いとなって、内側から滲み出る。
時間を纏っているのだ。それってロマンチックだ。
吐くのも忘れて吸い続けたい。
1コメント
2017.11.11 14:45